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ポップン(15多め)を中心に扱う自己満足ブログです。シグフィリとかリアシグとか大体Σ様ばっかり描いていると思われます。自己設定・解釈が顕著なzektbachについての文章も少々。 キリ番は自己申告で。(健全志向・管理人の描けそうなジャンルでお願いします) なおこのサイトは二次創作サイトであり、製作者様とは一切関係がありません。 ご理解の上で当ブログを閲覧するようにお願いします。
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クリスマス後夜文。昨日の夜に急にネタが降りてきて、一日で仕上げたゆえほぼ一発書きで、色々と文章が荒い所があるかもしれません。そんな拙文ですが、読んで楽しんで頂ければ幸いです。

クリスマスパーティーから帰ったフィリは、何となく眠れず賑やかな時間への余韻に静かに浸る。
[Σ、フィリ(少々CP要素有り)、オオカミボーイ、マダムラゴラ(ゲスト)]




 











Schneewittchen









   それは賑やかな夜の終わり。自宅に着いた少年は、自分より一回り大きな成人女性の身体をやっとやっとで肩で支え、寝台の前に着く。布団の上に思い切り彼女の身体を放り込むと、どさりと景気の良い音がした。


  「……全く、さっさと寝てろ、この酔っ払い!」
  「……うぬ。りょうかい、した、のだー……」

   ぼんやりとした笑顔をこちらに向け、戻ってくる返事は半ば呂律が怪しい。はぁ、と呆れてフィリはため息をつき暖炉に火をつける。小枝や枯れ草、細い薪を燃やす、燃え始めの賑やかな音が静かな部屋に一時響く。大降りの薪を一通りくべ、炎がそれを穏やかにゆっくりと覆い始める頃、再び部屋に静けさが戻る。すでに隣で眠りに入っている、Σの、寝息が聞こえた。気持ちよさそうに寝てるなぁ。と呆れ笑いををしながらその姿を見つめ、思い出した左肩の凝りを、右の手の平で適当に揉んでやる。

   少しばかり遠出をしてきたのだ。近辺の街、といってもこの森から出た後バスを一度乗り継ぎ、小一時間ほど揺られなければならないのだが――。オオカミボーイとマダムラゴラ二人に、ちょっとしたクリスマスパーティーに、と家に誘われたのだった。実に、有意義な時間 だった。ごちそうやケーキも食べたし、その後のゲームも楽しかったしツリーの電飾は綺麗で、パーティーに熱中しながらもしばしば目を奪われていた。綺麗な包装紙で包まれた、プレゼントも貰った。楽しい時間だったのだが――。思えば、オオカミとのボードゲームに熱中しすぎていたのがいけなかったのかもしれな い。子供たちが遊戯に熱中している間大人二人組は食後の酌をたしなみ、そしてまさにゲームは第三ラウンドのクライマックス、どちらも一勝一敗、フィリとオオカミお互い一歩も譲らぬ熱い戦いを繰り広げている後ろでは――着々とへべれけ二名が形成されていき――。今に至る。

   オオカミの方はどうしているだろう。あちらも相当ぐでんぐでんになっていたから、大変だろうな。あっちは家の中だったから良かった。あの巨体を小柄で非力な少年が肩で支えて運ぶのはさぞかし大変な事だろう。そんなことを考えながらまた乾いた笑いが口元から漏れ出た。

   全部終わったことだし、まあこれから自分も眠れば良いわけだが――。

   何故か寝床に就こうという気がしない。寝巻きに着替えたものの、何もすることもなくぐるぐると部屋の中を回る。饗宴の余韻が覚めやらぬのかそれとも、この静けさが目を覚まさせるのか。

   多分、両方なのだろう。フィリはもう一度あの賑やかな空間と、それから行きと帰りの道中で見た、イルミネーションを思い出す。帰りの件はまあ置いとくとして、少し薄手過ぎたと寒さにコートをかきあわせ、街道で眺めたイルミネーションは本当に綺麗だった。初めて見る光景だったのだ。自然を脅かす近代文明を、 あまり彼は好まなかったのだが、あの光景だけは純粋に綺麗だと思った。冷たく凛とした空気の中、色とりどりの電飾が瞬き、夜の空気を飾っていた。

  ――きっと、楽しすぎたから。あのイルミネーションが、眩しすぎたから。
  ――今も目の奥がちかちかして、眠れないんだ。

  賑やかな饗宴の終わりは、どこか寂しい。静かな部屋の中にひとり、少し贅沢な物憂いを味わう。静かな部屋の中に響き渡る、素数の女神の穏やか過ぎるほどの寝息が何だか小憎たらしくなりベッドに赴いて顔をつついたり、軽く頬をつねったりしてみる。端正な顔はアルコールの余韻に緩んで今は少しばかり間の抜けた表情。それでも、割と麗しく思えるから困る。しかしこの女神、気持ち良いくらいになされるがままである。眠れる森のなんとやら、か。小人たちの陽気な歌声でも聞こえてきそうだ。面白いくらい何の反応もないので、顔に落書きでもしてやろうかとΣの寝顔を眺めながらそんなことを思っていたとき――。
   物凄い速度で、寝ぼけているはずのΣの両腕がフィリの身体を捕らえ、そしてシーツの中へと引きずり込んだ。


  「……ちょ、シグマ、腕、離せ、離せってば!」
   返答は、むにゃむにゃと言葉になっていない寝言だった。急な展開に、慌ててフィリはΣの腕から何とか脱出しようともがくものの、寝ているにもかかわらず物凄い力で抱きすくめられ敵わない。ひとしきり敵わぬ抵抗をした後、諦めて大人しくその腕の中に収まる。横になりながら暖炉の火の具合を伺い、問題ないことを確認すると、あとはぼーっとするしかなかった。身体と身体が触れ合う暖かさに、不本意ながらもどこか安心感をフィリは覚える。そうしていると、だんだんと、瞼が重くなってくる。身体も疲れていたのだろう、ようやくこれで眠れそうだ。今年のクリスマスは、こんな風に終わるんだなあ。そんな風に思いながら、ふたふたとまどろむ。

   少しの間だけ、寝ていたらしい。暖炉の存在を思い出しふと目を開けると、女神の腕の拘束は解かれていた。急いで寝台から飛び起きほぼ自然鎮火しかけている燃えさしに、用意しておいた水をかける。それから部屋の明かりも最小にし、眠たい目をこすりながら寝台に、戻ろうとするが――。

 「こっちじゃないだろ」

   自分のベッドではなく自然とさっきまでいた、Σのベッドの目の前に足を運んでいた事に、自身でフィリは突っ込みを入れた。踵を返そうとして、けれどどこか後ろ髪引かれる思いに、ベッドの前に屈み、もう一度目の前で寝ている素数の女神の寝顔を眺める。前髪が、幾筋か細く目の上に垂れているので、ついと払ってやる。白い肌した額があらわになって、そして、どうしてだろう、穏やかに訪れた衝動――。そこにふいに――唇を、寄せた。



   その後の思考は完全に停止していた。いや、半ば恣意的に自身の思考を止めていた。硬直した表情のまま、傍のベッドに潜り毛布とシーツを掛け、眠りの体制に入る。自分のベッドに戻ってから寝るということすら頭から飛んでいた。とにかく、早く夢の世界に入らなければ。出来ることなら三秒で。早く、早く今のことを忘れるように、羞恥の波が来て、再び眠れなくなることが決してないように。目覚めてしまうのが、自分でどうするのだ。脳内に響く、七人の小人達のあげる祝福の歌を慌ててフィリは振り払い、それからようやく二度目の眠りに落ちた。






   翌日、二日酔いに苦しむ素数の女神と、それを看病するやたら挙動不審な少年がいたがまたそれは別の話である。















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